VEIN

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  1. Adam Steals Payment (DUB-Russell)
  2. You are climbing a telephone pole 2 (Daisuke Tanabe)
  3. elegant slope (Katsuhiro Chiba)
  4. Sabbath (Lluviasonido)
  5. scept (hazcauch)
  6. nvscc(NUMB vs Christophe Charles)
[MUS-002] VEIN by V.A ℗ 2011 +MUS [ Compilation, Digital ]

Released: 2011/09/24

Track01 : DUB-Russell
Track02 : Daisuke Tanabe
Track03 : Katsuhiro Chiba
Track04 : Lluviasonido
Track05 : hazcauch
Track06 : NUMB vs Christophe Charles

Mastering : NUMB (EKOUNE SOUND)

Artwork : Taiyo Yamamoto

「VEIN」は以下の配信サイトから購入することができます

+MUS発,新電子音楽コンピレーション
「レーベルを始動するよ」ということをTokyoMaxUsersGroup(TMUG)のメンバーから聞いたのは2011年の4月頃だったと思う。自分が驚いたのかどうか覚えていないほど、それは自然な流れに見えた。

TMUGは2007年より西麻布Bullet'sの地下空間で、Max/MSP/Jitterを中心としたクリエイティブ・コーディング(パッチング)のノウハウの交換やアウトプットの場を提供してきた。先輩geekたちの華麗なるテクニックや表現に憧れて、はたまた休日午後に絨毯に寝転がってビールを飲む愉楽を求めてか、ミュージシャンや映像作家、エンジニアやプログラマー、デザイナーからリサーチャーまで、Maxという言語/開発環境の用途自体がそうであるように、多様な職能をもった面々が集い、緩やかにネットワークを形成してきた。

今回リリースされる2ndリリース"VEIN"もまた、この+MUSレーベル形成の連続性から自ずと導き出されたかのようなサウンド・コンピレーションとなっている。

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1. Adam Steals Payment (DUB-Russell)
デビュー作"Grasp Echoes"がその緻密かつ切れ味鋭いサウンド処理で衝撃を与え、快進撃を続けている二人組Max/MSPパッチング・マエストロ、DUB-Russell。重心低くつんのめるようなキックの反復の上に、あらゆる帯域に充満する電子音のレイヤーがそれぞれ独立して動き、絡み合いながら徐々に高揚してゆく、ダブラセル流インダストリアル・サウンド。

2. You are climbing a telephone pole 2 (Daisuke Tanabe)
Giles Petersonの支持を受け、バルセロナのSonarフェスティバルに出演するなど世界でも活躍しているビート・メーカーDaisuke Tanabe。有機的なリズムがゆっくりと円環を描きながら、様々なサンプルや楽音、グリッチ音を巻き込んでゆく美しいビートワークを提供。

3. elegant slope (Katsuhiro Chiba)
Max/MSPソフトウェア"cyan/n"の開発者としても知られる電子音楽家Katsuhiro Chiba。冒頭の虫の音(これも自身のプログラムにより生成されている)に導かれ、奇数拍でミニマルに転がる音高を持った電子音と、泡立つようなビートが複雑なパターンを織りなす。

4. Sabbath (Lluviasonido)
端正なビートとピアノの反響が、心地よく波打つシンセ音やテキストリーディングの人工的な感触とともに洒脱なバランスを形成しているLluviasonido。旅や生活の中で拾い上げられたであろう音や言葉が編み込まれ、知らない街へと深く潜ってゆきたくなるようなトランス・アーバンな音楽を奏でている。

5. scept (hazcauch)
breakcore以降の感覚で刻む細やかなビート・プログラミングと思い切りの良い攻撃的な楽曲展開で注目を集めるhazcauch。耳に貼り付く変則的なビートと縦横に飛び交う鋭利な電子音の対比が才気を感じさせる。

6. nvscc (NUMB vs Christophe Charles)
断続的に行われて来たNUMB,Christophe Charlesという電子音楽界の巨人二人によるセッションの初音源化。それぞれの音への聴取と繊細なオペレーションの手つきを伺わせる緊張感に満ちた時間が持続し、くぐもるような都市のサウンドスケープの中に、現れては消える輪郭を持たない電子音や具体音が点描される。

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本コンピレーション"VEIN"には、+MUSやその母体となるTMUGの活動に関わってきたアーティストの作品が収録されている。このようなネットワークを駆使することで、今後+MUSは音楽作品にこだわらず技術・ノウハウまでを幅広く配信するプラットフォームとして独自の機能を発揮するのではないだろうか。

群雄割拠の様相を呈するネットレーベル界隈の動向の中でも、従来のvinylやCDのリリースに特化したレーベルのオルタナティブとしてのネットレーベル以上のものを目指す+MUSの取り組みが興味深いのは、より多様化するアーティストのアウトプットとその再配分を実現するための活動形態を指向している点かも知れない。その意味で今後の+MUSレーベルとそのアーティスト、聴き手との関係性には注目してみたい。

TEXT: Satoshi Hattori